留守番

今日は主が朝から慌ただしい。
これは何度か経験しているから知っているぞ。
今日は留守番の日なのである。

主は朝から何やら身支度や仕事で忙しそう。
一通り済んだかと思ったら、
我が輩をケージごと隣の部屋へ運んでしまった。

なので主が何をやっているのか分からないが、
何か打ち合わせのような話し声がするので、
真面目に仕事しているのだろう。
我が輩も参加して、最近練習中のさえずりを披露したいものである。

そのうち主が我が輩のケージを元の場所に戻したかと思ったら、
そそくさと着替えてどこかへ出かけて行ってしまった。
「お留守番」よろしくねと言って。

主も本当は行きたくない様子だし、我が輩も留守番などしたくない。
でも、やりたくないこともやらねばならぬのが世の常なのである。

仕方ないので、我が輩も鏡を覗いたり、ブランコを突いたりして時間を潰す。
外は土砂降りの雨だ。主はきっと濡れただろう。
こんな日に出かけなければならないなんて、ご苦労様としか言い様がない。
本当に土砂降りの中、出かけなければならない用事なのだろうか。
文鳥には分からない。きっと主にもそれは分かっていないだろう。

エサも食べて十分遊んで水浴びもしたら、そろそろ眠くなってきた。
いつもは主を構ってやらねばならないので、昼寝もせず動き回っているが、今日は一人なので眠くてしかたない。

なので、お気に入りの鏡の前でさみしさを紛らわせながら、ウトウトとする。

そうこうしている内に、主が帰宅した。
我が輩はもうすっかり寝るつもりだったのに、
部屋の明かりを点けられ、騒がしくされ、とてもかなわん。

安眠妨害の詫びとして外に出せアピールをしつこくしたら、
主がケージから出してくれた。やはりケージの外は楽しい。
見たい物や突きたい物がたくさんある。

だが、興奮して飛び回っていたのもつかの間、
何だか主があまり元気がない。横になったままグッタリ目を閉じている。手で我が輩を握ったり撫でたりしてくれるがお疲れの様子だ。

なので我が輩も大好きな主の手の皮突きもほどほどにして、
ケージに戻されてもおとなしく従う事とした。

我が輩だって、いつだって主にベタベタではないのである。
ひとりで留守番だってできるのである。それが文鳥ってやつだ。

主が寝床の準備をしてくれたので今日はもう寝る。
留守番は少し寂しかったがしっかりできたし、
諦めていた放鳥もしてくれた。

今日遊び足りなかった分は、明日遊べば良い。
主も疲れているなら早く寝て、
明日早起きして遊んでくれれば良いのにと思う。

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